統一APIリコール:ZoomとGoogle Meetの会話データを活用してAIボットのパフォーマンス向上を図る

企業がAIを活用しようとする中で、内部ビジネスデータと先進的な大規模言語モデル(LLM)を統合する競争が激化しています。しかし、多くのチームが価値あるデータの最も重要なソースである「会話」を見落としています。そんな中、データ活用を支援するスタートアップ「Recall」が1000万ドルの資金調達を発表しました。

この投資はRidge Venturesが主導し、Industry Ventures、Y Combinator、IrregEx、Bungalow Capital、Hack VC などの既存の支援者が参加しています。これにより、Recallは製品を強化し、成長に備えてチームを拡大することが可能になります。過去1年間で、同社は10倍の成長を遂げました。

「会話は世界最大のデータセットです。大規模言語モデルは会話データの可能性を明らかにしており、この情報を取得する開発者の需要が急増しています。すべてのSaaS企業は会話をデータソースとして活用すべきです。Recallの統一APIがこのプロセスを簡素化します」と共同創設者のデイビッド・グー氏は述べています。

AI向けの会話データの活用

リモートワーク時代において、チームはGoogle MeetやZoomなどのプラットフォームで数百万時間の会議を開催し、その中から営業、マーケティング、テクノロジーにわたる洞察を生み出しています。しかし、これらのデータ(音声、映像、チャット)はしばしばサイロに閉じ込められてしまいます。この情報の海にアクセスするために、チームは社内インフラや統合を構築する煩雑な作業に直面することが多く、時間がかかります。

グー氏は「基本的なインフラと統合を構築するには通常1年以上かかります。一度整備されると、企業はメンテナンスの課題に直面し、数百から数千のサーバーとシステムを管理、スケーリング、維持するためのエンジニアチームが必要になります」と説明しています。

最初、グー氏と共同創設者のアマンダ・ジュは、ビデオ会議のリアルタイム文字起こし製品の開発を目指していましたが、会議プラットフォームからデータにアクセスすることが最大の壁であると気づき、2022年にRecallを立ち上げる方向にシフトしました。

Recallは、各企業のビデオ会議ツールと接続するための統一APIを提供し、会話データを簡単に抽出します。このソリューションはGoogle MeetやZoomなど、さまざまなビデオプラットフォームをサポートし、会議データにアクセスするためのカスタムインフラが不要です。

グー氏は「ユーザーはRecallにAPI呼び出しを行うだけで、録音、文字起こし、Metaデータなどの会議データを抽出できます。これらの生データをGPT-4などの大規模言語モデルを使って要約や分析に利用できます」と述べました。このAPIを使って、会議のコパイロットやボットなどのアプリケーションを開発できます。

また、グー氏はAPIはデータを取り込み、数日内にアプリケーションを稼働させることができると強調しました。厳格なデータポリシーを遵守し、音声や映像の録音は最大7日間保存され、その後は自動的に削除されます。「ユーザーはデータを即座に削除できるエンドポイントも提供し、保存期間を最小限に抑えることができます」と彼は付け加えました。

クライアントの拡大

Recallはローンチ以来、さまざまな業種で300社以上の顧客を獲得し、数百万時間の会議データを処理しAIアプリケーションを支援しています。これには、テレヘルスセッションのライブノート作成や、バーチャル証言の分析、営業チーム向けの会話インテリジェンスの向上が含まれます。

グー氏は「CTOにとって、この技術は5人以上のエンジニアが高インパクトプロジェクトに集中できるようにします。製品VPにとっては、AIのような迅速な分野で新機能の立ち上げが1年ではなく2ヶ月で可能になるのは重要です」と述べました。具体的な収益数字は公開していませんが、プロセスした音声と映像の時間当たり課金というシンプルな使用ベースのモデルにより、ゼロから数百万ドルの成長を遂げたことが確認されています。

今後、Recallは新しいツールや統合を追加して会話データソースをさらにキャプチャし、顧客により大きな価値を提供する予定です。また、重要な分野でチームの拡大を計画しています。

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