Go言語は、2009年末に多くの期待の中で登場し、TIOBEインデックスで「プログラミング言語オブ・ザ・イヤー」に選ばれましたが、その人気は年々変動しています。2024年に向けて、Goは再び注目すべきプログラミング言語として浮上しています。その背景には、サイバーセキュリティと人工知能(AI)の2つの重要な要因があります。
サイバーセキュリティの懸念
2023年12月、NSA(国家安全保障局)とサイバーセキュリティサービスが、米国、オーストラリア、カナダ、イギリス、ニュージーランドのサイバーセキュリティ専門家と連携して発表したレポートでは、CやC++のようなメモリ安全でないプログラミング言語から、Go、C#、Java、Python、Rust、Swiftなどのメモリ安全な選択肢への移行が推奨されています。NSAサイバーセキュリティ局の技術ディレクターであるニール・ジーリング氏は、「メモリ安全性の脆弱性は、すべてのセクターにおけるソフトウェア開発に影響を与えています。より安全なプログラミング言語への移行に向けた明確な目標とタイムラインを設定することが不可欠です」と述べています。
GoとAI
GoogleによってC++の限界に対応する形で開発されたGoは、現在ではPayPal、Dropbox、Uber、Microsoft、ByteDanceなどの大手企業において、ウェブサービスやバックエンド開発、重要なインフラに利用されているオープンソース言語です。「FAANG」企業(Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Google)でも、効率性と大規模データセットの処理性能から利用が増えています。これは、AI開発においてGoの役割が増すことを示唆しています。
2024年上半期の開発者調査によると、AI機能やアプリを開発している参与者は、Goがこれらのアプリケーションを本番環境で実装するための堅牢なプラットフォームであると確認しました。
AIを支える能力
Goを使用している、またはAIワークロード向けに移行を考えている多くの回答者は、Goの堅牢性、シンプルさ、パフォーマンスが重要な理由であると強調しています。AI機能を構築している約3分の1は、特にAPIエンドポイントのホスティング(41%)やデータパイプラインの管理(37%)のためにGoを利用しています。しかし、AIプロジェクトは初めにPythonで開発され、その後により生産的な言語に移行するケースが多く、これは既存の投資によるものです。機械学習チーム内でGoの認知度が向上すれば、10%の回答者が移行を考える可能性もありますが、GoのAIライブラリやエコシステムが進化しない限り、PythonとPyTorchの優位性は続くでしょう。
PythonとGoはどちらも学びやすく、初心者にも適しています。明確な構文と主要なクラウドプロバイダーからの強力なサポートがあり、特にAWSおよびAzureからのGoへの支援が強いです。
給与の洞察
Stack Overflowの2024年調査によると、Go開発者の平均年収は約75,361ドルであり、ErlangやClojureのトップ層は12年の経験で95,000ドルを超えます。一方、Python開発者は平均67,559ドル、C開発者は65,467ドル、SQL開発者は64,444ドルです。
サイバーセキュリティの専門家からの支持とAIアプリケーションでの採用の増加により、Goは多用途で将来性のある言語としてソフトウェア開発の風景に影響を与えつつあります。スキルセットを強化したい、またはキャリアを転向させたい開発者にとって、Goの学習は戦略的な機会となります。