AppleがAIを取り入れる「Apple Intelligence」
Appleは年次開発者会議WWDCで、自社のソフトウェアとアプリケーションをより使いやすくするための新たな取り組み「Apple Intelligence」を発表しました。これは、独自技術とChatGPTの開発者であるOpenAIとのパートナーシップを活用した革新的なアプローチです。
SiriのAIによる進化
最も注目すべき変更の一つは、Appleの音声アシスタント「Siri」です。Siriは、現代の生成AIの基盤である大規模言語モデル(LLM)を利用することで、Appleのオペレーティングシステムやアプリとのインタラクションを強化します。ユーザーはニュース記事の要約を求めたり、メールを削除したり、写真を編集したりできます。さらに、Siriは100以上のアクションを実行できるようになり、説明に基づいて写真を見つけたり、身分証明書の情報を抽出して自動入力を行ったりします。また、ユーザーは口頭でのリクエストだけでなく、タイピングでも質問が可能です。
スマートブラウジングとメール機能の向上
Apple Intelligenceは、Safariでのブラウジング中に関連するコンテンツを強調表示し、通知の管理も向上させます。GmailやOutlookの機能に似て、Appleデバイスはメールやテキストメッセージの包括的な返信を自動で草稿することができます。さらに、「Writing Tools」という新しいツール群は、AIを活用して文章の作成、リライト、校正、要約を補助し、メールやブログ投稿の作成を容易にします。
高度な通話機能
Apple Intelligenceにより、通話の録音、文字起こし、要約が可能になり、Otterなどのサービスと直接競合します。通話参加者には録音について通知が行われ、会話の重要点の要約が自動的に生成されます。AIを使用して、画像、ステッカー、カスタム絵文字(Genmoji)も作成でき、どのアプリでも利用可能です。
GPT-4oで強化
AppleはOpenAIと提携し、最新のLLMであるGPT-4oをSiriとWriting Toolsに統合しています。これにより、SiriはユーザーのクエリをGPT-4oに効率的に送信でき、テキスト作成が向上します。なお、Appleは、ユーザーがChatGPTの有料アカウントを接続しない限り、リクエストやIPアドレスなどの個人情報を保存しないことを約束しています。
利用可能性と競争環境
Apple Intelligenceは、最初はベータ版として、iPhone 15 Pro、Pro Max、M1チップまたはそれ以降のiPad、Macで利用でき、デバイス設定は米国英語にする必要があります。
このAI機能の導入は、2022年末にOpenAIのChatGPTが登場して以降、業界全体の生成AIの盛り上がりに応えるものです。Google、Samsung、Microsoftなどの競合他社も、自社製品にAI機能を組み込むために急いでいます。Googleは次期AndroidバージョンにAIを組み込むことを発表し、Samsungはスマートフォンでのリアルタイム通話翻訳や写真編集機能を導入しました。MicrosoftもAI搭載のCopilot PCを発表し、Windowsにライブキャプションや画像編集機能を追加するなど、テクノロジーの分野におけるAI統合の広がりを示しています。