ユニティ(Unity)、ゲームエンジンのリーディングデベロッパーは、2024年の「Unity Gaming Report」を発表しました。このレポートでは、経済的な課題に対するゲーム業界の反応に関する貴重な洞察が示されています。報告書は、逆境に直面するゲームスタジオのレジリエンスと柔軟性を強調し、2024年のゲーム開発者会議(GDC)における特集も行われています。
経済不安が続く中、ゲーム開発者たちは戦略的にこの変化する状況を乗り越えています。「開発者は、より少ないリソースでより多くのことを成し遂げる方法を学びました」と、ユニティの製品・技術責任者マーク・ウィッテンがGamesBeatとのインタビューで述べています。スタジオは今なお実験を重ね、AIツールを活用した生産性向上や収益を最大化するための広告戦略の多様化、プレイヤーベースを拡大するためのマルチプレイヤーおよびマルチプラットフォームゲームに重点を置いています。
このレポートは、500万以上のユニティエンジン開発者と3420億回の広告ビューから得た洞察に基づき、業界動向についての包括的な分析を提供しています。開発者たちは、保守的な支出と計算されたリスクをバランスよく取り入れ、自社の強化とROIの向上に努めています。
マルチプラットフォームおよびマルチプレイヤー開発
最近、マルチプラットフォームおよびマルチプレイヤー開発への傾向が高まっており、スタジオはこれらの分野にも投資してプレイヤーのエンゲージメントを向上させています。2021年以降、マルチプラットフォームゲームの数は40%増加し、小規模スタジオでもこれらの戦略を採用しています。2023年には、マルチプレイヤーゲームの収益が10%増(23億ドル)し、その人気が持続していることが示されています。
「マルチプレイヤーやマルチプラットフォームのリリースが著しく増加しています」とウィッテンは述べ、インディー開発者らもより広いオーディエンスをターゲットにしていることを強調しました。また、イベントやインセンティブで頻繁に更新されるライブオペレーションを備えたゲームも一般的になり、プレイヤーのリテンションを促進しています。
多様なマネタイズ戦略
ユニティのレポートによれば、スタジオは多様なマネタイズ戦略を展開しており、特にインアプリ広告収益は前年比26.7%増加しています。報酬付き動画やオファーウォールを利用したゲームは、7日後と30日後のリテンション率が向上しており、多様な広告戦略がプレイヤーのエンゲージメントに与える影響を示しています。
「ゲーム業界にとって厳しい年でしたが、開発者たちはマネタイズへのアプローチにおいて驚くべき柔軟性を見せました」とウィッテンは語り、この傾向が資金調達環境でも持続することを期待しています。
ゲーム開発におけるAI導入
AIはゲーム開発の実践を変革しており、62%のスタジオがコンテンツ制作やアニメーションのワークフローにAIツールを統合しています。ウィッテンは「[開発者は]生産性を向上させ、より効果的にゲームを進化させるためにAIを活用しています」と説明しました。AIを活用する大多数の開発者は、納期と運用効率が向上したと報告しており、ゲーム開発プロセスへのその影響は顕著です。
ユニティは、業界の課題に立ち向かうために必要なツールを開発者に提供することを目指し、パフォーマンス、スピード、マルチプラットフォーム機能の向上に対するコミットメントを強化しています。
ユニティ6と技術革新
GDCでは、ユニティ6の発表が行われ、これによりより複雑なシーンの制作が可能になり、エディター内でのマルチプラットフォームゲーム開発が促進され、動的なAIやXR体験の改善が実現されます。また、リアルタイム3Dおよびゲーム開発用のAI駆動プラットフォーム「Unity Muse」の強化も発表されました。
マルチプレイヤー機能におけるユニティの注力は、更新された「Mega City Metro」デモにおいて明確に示され、ユニティ6内での堅実なフレームワークの特長を強調しています。
Web3およびMetaバースのトレンド
Web3やMetaバースのトレンドは、初期の過熱から安定しましたが、ウィッテンはこれらの分野でも革新的な作業が続けられていることを認めています。「ゲームは新技術の刺激的な活用法を発見する最前線に立つことが多い」と述べ、マルチプレイヤーゲームによる深いコミュニティエンゲージメントを促す「HellDivers 2」や「Palworld」などの成功事例を引用しました。
過去のユニティの価格変更について振り返り、ウィッテンはクリエイターとのコミュニケーションの重要性を強調し、今後も開発者の懸念に対応していくことを約束しました。
ゲーム業界が進化を続ける中、ユニティは開発者が世界中のプレイヤーに没入型体験を提供できるようサポートし、革新の最前線に立ち続けることを目指しています。