アトラシアンは、企業向けに設計された強力なAIツール「Rovo」を発表しました。Rovoは、アトラシアンのアプリケーション群や各種サードパーティープラットフォームから情報を集約するエンタープライズサーチエンジンとして機能し、従業員間の知識発見、学習、アクションの促進をサポートします。
ガートナーによれば、デジタルワーカーのほぼ半数が仕事に必要な情報を見つけるのが難しいと感じています。従業員は、メール、クラウドサービス、Slack、Jira、Confluence、Trelloなど、さまざまなアプリケーションに保存されたコンテンツを探し回っており、情報の所在を忘れてしまうことが多いです。Rovoはこの課題に対処し、職場の生産性を向上させることを約束します。
アトラシアンのプロダクトマネージャー兼アトラシアンインテリジェンスの責任者であるシャリフ・マンスールは、「企業は多くのツールを利用して運営されており、組織内の知識を管理するのは非常に困難です」と述べています。彼は、組織がさまざまなSaaSや内部アプリケーションを使用しているため、このデータを効果的に活用することが、従業員の生産性向上には不可欠だと強調しています。
Atlassian Rovoの特徴
アトラシアンRovoは、昨年デビューしたアトラシアンインテリジェンスによって強化された3つのコンポーネントで構成されています。各コンポーネントは独立して機能できますが、共同利用することで、さまざまな内部ツールにおける情報の発見と活用を向上させます。
Find(検索)
Findは、アトラシアンクラウド内のエンタープライズ検索機能です。「Rovo Searchは、サードパーティーおよび内部ツールからのすべてのコンテンツをインデックス化し、一か所に集約します」とマンスールは説明します。インデックス化するアプリケーションはアトラシアンの管理者が選択でき、Google Drive、Microsoft SharePoint、Microsoft Teams、GitHub、Slack、Figmaなどと統合可能です。権限が付与された場合、組織全体でアクセスでき、個々のユーザーの権限に基づいて適切な情報のみを表示します。
検索結果には、ドキュメントリンク、画像、動画が含まれます。非テキストファイルに対しては、Rovoが動画のトランスクリプトを分析し、画像認識技術を活用しています。また、今後は意味情報を抽出する計画もあります。検索結果の上部には、プロジェクト、ゴール、チームメンバーに関する知見を提供するナレッジカードも表示されます。
Learn(学習)
Learnは、従業員に自社のデータを包括的に理解させる機能です。このAIは、プロジェクトの詳細なレポートや会議の要約を生成し、リアルタイムの社内用語集のように機能します。たとえば、マーケティングキャンペーンの進捗を尋ねると、Rovoが関連ドキュメントを引用しながら詳細なレポートを作成します。さらに、Learn内の特徴的な機能として、ユーザーが下線付きのフレーズにカーソルを乗せると不明な用語を定義する文脈サポートも提供されます。
Learn内の注目機能の一つはRovo Chatです。このチャットボットは、社内データのみに基づいて質問に答える機能を持っています。この機能はRovoのインターフェースを超え、Google Docsなどのサードパーティープラットフォームにも統合される計画です。
Act(アクション)
最後の要素はRovo Agentsです。これは、時間のかかるタスクを自動化し、プロジェクトの遂行をサポートするために設計された専門的なボットです。「私にとってこれがRovoの最もエキサイティングな部分です」とマンスールは主張します。「これらのバーチャルチームメイトは、チームの生産性を向上させる可能性を秘めています」。
利用可能な最初のエージェントの一つはBacklog Buddyです。これは、チームの作業バックログを管理するのを支援します。ユーザーはこのボットに指示を出してドキュメントを分析し、タスクを抽出することができ、手動作業が大幅に削減されます。AIエージェントは自動的に実行することなく、アクションの提案を行いますが、最終的なコントロールは人間のユーザーが持ちます。
エージェントは以下のようなさまざまなタスクを実行できます:
- マーケティングやコミュニケーションのためのコンテンツ生成・整備
- デザインリクエストやJiraチケットのタスク管理の自動化
- 質問への回答やベストプラクティスの推奨
- 新入社員のオンボーディングの支援
- ConfluenceやJiraでのタスク整理・管理
Rovoは、コーディングなしでカスタムエージェントを作成できるため、開発者にも対応しています。
Rovoの利用可能性
最近発表されたRovoは、現在、一部の顧客を対象にエ Early Accessが行われており、将来のアクセスのための待機リストも用意されています。Rovoの各コンポーネント—Search、Learn、Agents—は異なる開発段階にあり、SearchとLearnが先行しています。Rovoの一般公開は年内を予定しています。
Rovo Searchは、ウェブを通じてアクセス可能で、モバイルウェブでも利用できます。Learnの一部機能はConfluenceのモバイルアプリに統合される予定で、Jiraのサポートも続く見込みです。
Rovoはアトラシアンのアプリクラウドエディション内で提供され、座席数に応じた柔軟な価格設定が行われます。詳細な価格情報は、一般公開日が近づくにつれて提供される予定です。