静かな時期を迎えているOpenAIの一方で、競合のAnthropicはClaude 3ファミリーの大規模言語モデル(LLM)の発表で注目を集めています。また、生成AIの分野で注視すべき企業として、イスラエルのスタートアップDeciが最近、新たな製品の大幅なアップデートを発表しました。
Deciは、2023年秋にStabilityのStable Diffusion 1.5やMetaのLLaMA 2 7Bのファインチューニング版であるDeciDiffusionとDeciLM 6Bオープンソースモデルを発表した後、コード補完機能を持つDeciCoderや強化版のDeciDiffusion 2.0をリリースしました。最近では、企業や開発者向けにDeci Generative AI Development Platformを通じてのみ利用可能な、より小型で効率的なクローズドソースのLLM「Deci-Nano」を発表しました。
オープンソースからの移行?
Deciは、Microsoftとのパートナーシップを結ぶMistralのように、商業的な戦略にシフトしているようです。これにより、オープンソースAIの未来に疑問が生じます。DeciのマーケティングVP、レイチェル・サルキンはメールで次のように述べています。「私たちはオープンソースコミュニティを支援し続けることに専念していますが、精度と速度を高めるクローズドソースモデルの価値も認識しています。」サルキンは最近発表されたDeciLM-6BやDeciLM-7B、DeciCoderなどのオープンソースモデルのダウンロード数も依然として高いことを強調しています。
競争力のある価格での性能
もしDeciが商業路線を選んでいるのなら、Deci-Nanoはその象徴的な一歩です。このモデルは言語理解と推論に優れており、NVIDIA A100 GPU上でわずか4.56秒で256トークンを処理しました。Deciのブログでは、Deci-NanoがMistralの7B-InstructやGoogleのGemma 7Bを上回り、OpenAIのGPT-3.5 Turboの$0.50やClaude 3 Haikuの$0.25に比べて、1百万トークンあたり$0.10という非常に手頃な価格で提供されているとしています。「Deci-Nanoは、品質とコスト効果に重点を置いた生産志向のアプローチを具現化しています」とDeciの共同創業者でCEOのヨナタン・ゲイフマンは述べています。この8Kコンテキストウィンドウモデルは、DeciのAutoNAC技術を使用して開発され、大型モデルの機能を模倣する小型モデルを生成することで効率性を最適化しています。
Deci-Nanoは、財務分析からコンテンツ生成まで、企業がコストを効果的に管理しながら革新を促進することを目指しています。さらに、Deciはスケーラビリティを考慮したサーバーレスインスタンスや、プライバシーとカスタマイズ性を向上させる専用インスタンスを提供し、企業がニーズの変化に応じてAIソリューションを適応できる柔軟性を提供しています。
包括的プラットフォームの発表
最近のニュースの多くがDeci-Nanoに焦点を当てていますが、全体的なGenerative AIプラットフォームの導入は重要な進展です。このプラットフォームは、企業の効率とプライバシーのニーズに応える「包括的なソリューション」として位置付けられています。
具体的には何が含まれるのでしょうか?Deciによれば、ユーザーはファインチューニング可能なLLM、推論エンジン、およびAI推論クラスタ管理ソリューションにアクセスできます。Deci-Nanoはこのプラットフォームを通じて利用可能な初のクローズドソースモデルであり、今後はオープン・クローズ両方のモデルがリリース予定です。
推論エンジンは、DeciのAPI、仮想プライベートクラウド、またはオンプレミスでのニーズに応じてDeci-Nanoを展開できるようにします。自社の仮想プライベートクラウドを管理するクライアントには、コンテナ化されたモデルとKubernetesクラスタ内での管理推論サービスを提供します。
さらに、Generative AIプラットフォームは、データを社内に保管したい企業向けのオンプレミス展開オプションを提供します。クライアントは、Deci-NanoとDeciのInferyソフトウェア開発キットを収容した仮想コンテナを受け取り、自社のアプリケーションに統合することができます。
Deci Generative AIプラットフォームおよびその各種製品の価格詳細はまだ公表されていませんが、情報が入手次第、アップデートされる予定です。