伝統的な表形式データベースは、特にベクトル、画像、動画、音声などの複雑なデータ型を大規模に扱うAI時代において課題に直面しています。多様なフォーマットの保存は困難であるだけでなく、複数のファイルタイプを扱う際には、データの取得と管理にさらなる複雑さが伴います。
そこで登場したのがLanceDBです。このソリューションは、AIのニーズに合わせて設計されています。Y Combinatorの後ろ盾を得たLanceDBは、総額11百万ドルの資金調達の一環として、800万ドルのシードラウンドの完了を発表しました。LanceDBは、機械学習タスクに最適化されたオープンソースのLanceカラム形式を利用し、マルチモーダルデータ専用のデータベースを開発しています。このプラットフォームは、ネイティブなオブジェクトストレージ統合を特徴としており、AIデータの高パフォーマンスでスケーラブル、かつクラウドネイティブな管理と取得を実現します。
開発者は、以下の3つの方法でLanceDBを活用できます:既存のバックエンドに組み込む、Jupyter Notebookのようなクライアントアプリケーションを通じて実行する、またはリモートのサーバーレスデータベースとしてデプロイすることです。従来のシステムではクライアントとサーバーが別々のプロセスとして機能するのに対し、LanceDBはストレージと計算を効果的に分離し、アプリケーション内への直接埋め込みを可能にします。
すでにMidjourney、Character.ai、Airtable、Tubi、Hex、WeRideなどの著名な企業がLanceDBを活用しています。この投資により、同社はAIプロジェクトを実験段階から本番運用へとスムーズに移行させることを目指しています。シードラウンドはベンチャーファームCRVが主導し、Y Combinator、Essence VC、およびSwift Venturesからの追加支援も受けています。
「マルチモーダルモデルは新たなフロンティアです。先進的なAI実践者は、次世代のAIアプリケーションに対応するために、革新的なデータインフラを必要としています」とCRVのゼネラルパートナー、ムラット・ビチェルは述べています。
現在、LanceDBの商用オファリングには、Rust、Python、JavaScript向けのSDKを備えたフル機能のオープンソースデータベース、ホスティングされたサーバーレスソリューション、そして大規模データセットを管理し、堅牢なセキュリティ機能を必要とするチーム向けの企業向け製品が含まれています。