SalesforceがInformaticaの買収を検討しているとの噂が広がる中、マーク・ベニオフ氏が率いる同社は製品の強化に注力しています。最近、SalesforceはSlackに新しい生成AI機能を導入するアップデートを行いました。この機能は、2月に発表されたSlack AIの能力を基盤にしており、ユーザーが日々の業務のやり取りを把握するのに役立つ簡潔な要約を提供します。
SalesforceはさらにSlack AIの多言語対応を進めており、将来的には新たなデータソースの探索にも取り組んでいます。この取り組みは、生成AIを全てのスタッフ層に届けるというSalesforceのコミットメントを象徴しています。AIツールを活用して生産性や収益を向上させる企業が増える中で、デスクワーカーの25%しかAIツールを使用した経験がないという大きなギャップが存在しており、94%の経営者はAI統合を最優先事項と捉えています。
Slack AIの強化
2月、SalesforceはAI駆動の検索機能と会話の要約を中心に、ネイティブSlack AI機能を導入しました。
- AI検索: 更新された検索バーでは、プロジェクトの進捗やポリシー関連の質問など、業務に関する質問を行うことで、正確かつ引用付きの回答を得られるQ&A体験が可能になりました。
- 要約機能: チャンネルやスレッドのハイライトを自動生成し、未読メッセージを確認したり、特定の期間(例えば1週間や1ヶ月)の会話をレビューするのに役立ちます。
新たに、Salesforceは「Recap」という機能を導入し、選択されたチャンネルのディスカッションの毎日のダイジェストをユーザーに提供します。すべての内容はAIによって生成されています。
Slack AI Recapの利用方法
Recapにアクセスするには、SlackのホームセクションでRecapボタンをクリックし、モニタリングしたいチャンネルを選択するだけです。Slackはアクティビティに基づいて関連チャンネルを提案しますが、ユーザーは選択をカスタマイズできます。設定後、Recapページには選択したチャンネルのアクティビティがAI生成の要約や引用と共に表示され、各スレッドを手動で確認することなくディスカッションの内容を迅速に把握できます。
Salesforceは、顧客データを保護するために、安全なインフラ内でサードパーティの大規模言語モデル(LLM)を利用して要約を生成していますが、具体的なLLMプロバイダーについては未発表です。この背景には、AI技術の急速な進化が影響しています。
新しい言語サポートと今後の機能
これまでSlack AIは、エンタープライズプランのユーザー向けに米国英語と英国英語でのみ提供されていましたが、Salesforceはこれをすべてのユーザー向けに有料追加機能として展開し、今後は日本語やスペイン語を含む多言語対応を進める予定です。
さらに、SalesforceはSlack内のファイルやアプリケーション、インタラクションなど、より多くのエンタープライズデータを活用してAI機能を向上させることを目指しています。これには、オーディオとビデオによるハドルインタラクションのLLMベースの分析も含まれ、ディスカッションから次のステップへの円滑な移行を実現するための重要ポイントやアクションアイテムの要約が生成されます。
MicrosoftがCopilotを通じてTeamsに類似のAI機能を統合しているのに対し、Salesforceは各Slack AI機能を個別に展開し、その影響を評価するという慎重なアプローチを取っています。「私たちは成功したパイロットプログラムを実施し、現在、UberやWayfairをはじめとするクライアントがSlack AIを積極的に利用しています」と、同社のスポークスパーソンは述べています。社内の調査によると、顧客はSlack AIを活用することで、クエリへの回答や知識の集約、アイデアの生成において、ユーザー1人あたり週平均97分を節約しています。